第77回 2015年1月

句評     村野 太虚
ほんとうに鬼は逃げたかけふの春  露徒
  <一声にこの世の鬼は逃げるかな 一茶> 鬼やらいの夜、鬼は豆をくらって一目散に逃げたとおもわれている。
一茶でさえそう思っている。でも本当に鬼はにげたのだろうか?ひょっとすると鬼はにげなかったのでないか?
人生修羅場をくぐってきた、冷徹で犀利な目を持った作者はふと考える。ここから俳句ははじまる。俳句は世界最恐の文学なのだ。
一人酒なまこのかたさもてあそぶ  文福
  作者は小樽の新鮮ななまこで北海の名酒十一州<北海道はむかし11州であった>をひとり酒を堪能した。海鼠は肉がかたくイボがしっかりしてツヤがあるのが上もの。<もてあそんだ>が自称親父俳句というのが面白い。

秀句三選

入選七句

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