句評 村野 太虚
春という言葉には、もののときめく明るい響きがあるが暦法のうえでは立春(2月4日ごろ)から立夏(5月6日ごろ)の」前日までを指す。
雨粒のはじけて春をうながせり 文福
やわらかい雨粒がパラパラはじけて花の蕾にぶっつけた。春をうながしているのである。
春の雨粒が意思をもつもののようなはじける躍動感
春9句
- 立春を迎えてなほも雪積もる 大豆
- 白木蓮蕾が今かと春を待つ 雅
- 雪解けや春の訪れすぐそこに 肴
- 公園で汗ばむ我が子春近し 長崎の牛飼
- 春暁や鉄橋の音鳴り響く 雅柳
<春暁>でわすれられないのが <春暁や桶にあふるる命綱 鶏二>
- 下ろしたて背広にふわり春の雪 風水
- 仲春や銀の玉でる籤車 五郎
籤車を廻すやコロコロと出る銀の玉。白の玉の人にはテッシュ。銀の玉には越の酒小瓶7本。立山、銀番、おわら娘、成政、などなど。仲春に催された越の国の物産展。天井にながれるおわら節。関東一円からあつまる越中人くさいにおい。
- 見上げれば小粒のつばめ春を待つ 如楽女
- ランチメニューピンクメニューの春づくし 如楽女
おもしろや今年の春も旅の空 芭蕉