第74回 2014年10月

句評     村野 太虚
なんきんのお化けゆらゆら席巻す  穭
  もとはといえば古代ケルト人が秋の収穫、悪霊の退散をねがってのことであったのが今や世界中、10月も31日となるとカボチャのお化けがゆうらゆら。魔女や骸骨やらがゆうらゆら。日本は原宿で始めたのが一気に日本中に。仮装行列やらコスプレが病みつきで大好き。川崎パレードになると3千の仮想パレードに10万の人出。終いにはJRの網棚にカボチャのお化けがのっかって警官の出動。お菓子をもらえなかったうらみにしてはややひどい。なんきん、カボチャは秋の季語。


  「柿は紅葉が散った後も梢に朱を点じて、日本の秋の風景としては最も親しいものとなった。句につくられることも桃梨よりもはるかに多く秀逸な句が多い。健吉」

つややかや柿に日のさす露店かな  穭
つるし柿楽しみ残し義父逝きし  風水
柿食えば警報なるなり体重の  たいこ
  ちょっと、ちょっと。そうかもしれませんけど。
よりそいしときもありたる枯尾花  露徒
  え?奥さんへの懐情?しみじみとした、てだれの句。
剣岳上半身に雪合羽  淡雪
  大景ですね。北日本アルプスの中でも<剣>はきわだっている。富山にすんでいれば上からかぶさってくる感じだろうね。
青空に名残のカタチ黄葉かな  文福
  銀杏のほか欅、クヌギ、白樺、カラ松などの黄色にもみじしたのも蒼空にうつくしい。これは銀杏の大空に残ったもみじのようですね。
曼珠沙華その先見えぬ赤い糸  文福
  あの花の赤はただごとでない。蒼天の虚空とあの花の長い蕊とは繋がっているにちがいない。運命か、恋か、天上の花か
地獄の使者か。眼にみえないが赤い糸が・・・・。不思議な句。

秀句三選

入選七句

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