第43回 2012年3月

句評     村野 太虚
この春を見せてあげたや盧舎那仏  露徒
 奈良の大仏は東大寺。この大仏殿に14メートルの大仏、盧舎那仏はおわします。49メートルの大仏殿の中に。御目を半眼のまま。聖武天皇の天平17年以来1200年。大仏、盧舎那仏は大仏殿の中から一歩も外へ出ずにおられる。
 春爛漫のさくら乱れ咲くこの明るい日、大仏殿の外へお連れして春を見せてあげたいものだ。盧舎那仏は宇宙の真理そのもの。釈迦如来はその悟りを生身であらわされる役割。
春8句
  • 春炬燵まあいつまでも要ることか  こころ
    <猫さえも素どうりしたる春炬燵 汀子>
  • 寒春や岩あらう波絶間なし  花水木
    料峭。立春後の寒さ。春寒き波涛の景がみえる。
  • 春立ちてここに春あり綾の杉  利涼
    綾杉という福岡の地酒はありますが、、、。
  • 春嵐連ね古書肆へまろび入る  緑舟
    *古書肆(こしょし):古本屋
  • 春蘭を摘む手をやめて眺めてる  五幸
  • 春うらら見上げる空にひばり舞う  蓮根
  • 春遅しつぼみのままの花見酒  淡雪c
  • 見上げれば小粒のつばめ春を待つ  如楽女
  • 春しぐれ蕾にそそぎて花ゆるむ  如楽女

義経に想いはせるや一人静  如楽女
花の吉野山には義経の鎧、弁慶の掛軸などが現存し、一人静がひっそり咲いている。

山吹のさびしさ隠せぬ黄の盛り  文福
<ほろほろと山吹散るや滝の音  芭蕉>

秀句三選

入選七句

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