第53回 2013年1月

句評     村野 太虚
血汐満つつらつら椿誰ゆえに  露徒
一面を血汐に染めて咲き誇っている椿たちよ いったい誰のせいなんでしょうね。つらつら椿→数多く並ぶ椿を指す(鳥井正博編歳時記)
巨勢山のつらつら椿つらつらに見つつ偲ばな巨勢の春野を  坂門人足 万葉集 1・54
悩ましい椿落ちる/血のやうな椿落ちる/血のやうな椿落ちる  川路柳紅
鴬の笠おとしたる椿かな (猿蓑 芭蕉)
(古くは梅の花を<鴬の笠>とみたてた歌が多く、その梅の花を椿とみたて鴬が笠を落としたとみたてた)  
雪8句
  • 落人の忍び路偲ぶ雪垂り(ゆきしずり)  花水木
  • しんしんと朝ざわめきに雪が降る  トンボ
  • 雀らが庇の下で雪やどり  園茂
  • 雪だるま完成姿に我重なる  音花
  • 雪折れの枝に隠れて道しるべ  風水
  • 一夜明け神の仕業や雪景色  大雅
    荘厳! 神業! 共感! 神の芸術! <色鳥や一夜に晴れし神の山  けんじ>
  • 除雪車の視界を塞ぐ松の枝  淡雪
  • コンビニの光頼もし寒夜かな  文福

  春一番色なき街を目覚めさせ  文福
     <付句> 春の眠りを誘ふ前触れ 露徒

  石棺の屹としてあり冬の虹  緑舟

秀句三選

入選七句

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