第51回 2012年11月
湯たんぽに芯の芯までほだされり 花水木
湯たんぽは中国の唐の時代からあったといわれる。昔は陶器、その後金属、今ポリエチレン。この最近の電気代の高騰、湯たんぽは心もふところも芯まで温めてくれる。
散落葉風流といいなにもせず 左近
なにもしないでいる、懐手で散落葉を眺めている、これぞ風流ときめこんでいる。そういう自分を眺めている。
遠き日の髪を飾りし六花かな 耕泉
六花は雪の異称。遠い昔、子供の頃、雪が髪を飾ったのだ。頬を染めて走りまわって作ったのは雪兎か。懐かしく美しい。
看護婦の足音繁き冬廊下 文福
私はほかの患者とともに病院の廊下に座っていた。長い廊下、老人がひとり杖をついてゆく。わびしい西日のさす廊下を看護婦がせわしなく走りまわる。淡い冬日の中で静と動。生と死の対比が浮びあがる。<冬廊下>の斡旋が効いている。
秀句三選
入選七句
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