第47回 2012年7月

句評     村野 太虚
迎え火やこの世に3泊4日間  文福
 ご先祖さまの精霊がかの世から還ってきてくれて泊っていってくれた。
 まるでホテルにでも泊ったように3泊4日もといっているのが秀抜。さぞや話も尽きずご先祖さまも大満足で送り火によって還られたに違いない。
夏4句
  • 店先の「始めました」で気付く夏  大福
     <かき氷はじめました>の張り紙。ああ、夏がきたのだ。
  • 山頂に着くや大の字夏の雲  風水
     やれやれくたびれた。どさり山頂に大の字になれば悠悠、夏の雲。。
  • ギラギラと燦燦とふる夏暑さ  空飛
  • 行く雲を寝ていて見るや夏座敷  野波

  尺玉が窓に溢れる花火かな  淡雪
   信濃あたりの旅の夜。寝室の窓から花火が洪水のように。

  笛の音や夜涼天女の金錺(きんかざり) 五郎
   薪能,<羽衣>。うるしのような闇、天女<万三郎>の金かざりが薪の炎の光りに妖しく耀く。

  風薫る窓越しの手話発車ベル  露徒
   発車のベルが鳴っているのに窓越しの切ない別れの手話。いよいよ情の煮詰まった濃い情感。風薫る季節。

秀句三選

入選七句

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