第80回 2015年4月

句評     村野 太虚
花水木まがふことなき夏の使者  穭
  清冽なる花水木よ、汝こそまがふことなき夏の使者。夏告鳥の時鳥よ、汝も。
 <卯の花の香う垣根に、時鳥の早も来鳴きて、しのび音もらす夏はきぬ>


   五月のはじめの立夏からあと三カ月が夏で八月の立秋の前日まで。
  <世の夏や湖水にうかむ浪の上 芭蕉>

やっと来た夏の到来クールビズ  音花
読みかけのページに染みる夏蜜柑  風水
  夏蜜柑片手に新刊をゆっくり披いてよもうとおもったらビユッ。
サウルスの如き幹線熱き加賀の夏  秋水
  テラノサウルスが今北陸新幹線の金沢で暴れているのだ。
祭笛今川橋はビルの中  露徒
  天和年間(1681~83)神田の龍閑川に名主今川氏のきもいりで懸っていた橋。300年間馴れ親しまれた橋も昭和25年撤収され面影もない。いまは神田バヤシの祭笛が通りすぎるばかりだ。
鰯雲土ふまずなき釈迦の足  三郎
  釈迦の足はへん平足。親指も小指も同じながさ。ガンジス上流の古代北インド大陸を生老病死を語り釈迦は土ふまずが大地にぴったりついた足をひきづりながら歩いていました。
ふきのとう句我にせよと贈られる  左近
  左近さんも俳人として名がしられてきた。ふきのとうを贈ってきて句に詠めという。
木漏れ日に妖精舞い散るクヌギ花  灰虹
毎日はいつも未知なり猫の恋  文福
  どの雄と出あうかしらぬが即応する。撃退することもある。ひっかいてやることもある。明日しらぬ未知は愉しい。

秀句三選

入選七句

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