第75回 2014年11月

句評     村野 太虚
寒月や深き谷間の無人駅  露徒
  どうしてかこんな谷間の無人駅に遭遇してしまったのだ。しかも寒月がコウコウと。深い寂寥にかこまれて。

紅葉
  古くから日本の秋の象徴であった。やがて形象化され名所が特定されるほどになった。大和の龍田山、摂津の生田の森、山城の大堰川、伊勢の鈴鹿山。春のサクラに対し秋の紅葉は日本人の感性のなかに千数百年色濃く存在し続けた。

天窓になだれこみたる照る紅葉  耕泉
冬紅葉かわく間もなき神の筆  華風蒼山
  眼前の冬紅葉がやがて蝋梅のウコンとかわりやがて梅、サクラ、、、とまこと神の筆のえがく世界に万人がときめくことに、、。
風に乗りトリプルアクセル紅葉舞う  志玲
月の影もみじを映し紅灯す  庭慈
初雪や庭一面の色隠す  淡雪
手の節に年輪ありけり冬木立  文福
  それこそ紅葉のような愛らしい手だったのに、冬木立のなかでフッと気付いた年輪。
木枯に背中(せな)を押されて墓参  露徒
なまはげも記念写真の前列に  三郎
  何十年か前、のしろのセンター竣工地鎮祭出席の際、なまはげも活躍していた。そして記念写真にもちゃっかり。
落葉して地面にまるく木のサイズ  文福
  すっぽりと木の姿のまま地面にまーるく落葉が、、、

秀句三選

入選七句

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