第73回 2014年9月

句評     村野 太虚
雷や千手千眼大観音  露徒
  センジュセンゲンダイカンノン・・と繰り返しとなえれば大観音の千の慈眼の放つ光に吸い取られ有難い寂光世界へ旅立てるは必定。これも言葉のリズムのもつ偉大な力。玄海の福岡県糸島に千手千眼の「雷山千如寺大悲王院」はある。院前に樹齢400年の楓の大樹があり楓紅葉が美しさで圧倒する。付近に標高942メートルの雷山がある。この霊山の麓の雷山院とくれば自然、夏の季語をとって雷(いかづち)や・・となるも自然の流れ。雷も遠くで鳴ったのか。


  <もののあわれは秋こそまされ>八月八日ごろの立秋から十一月八日頃の立冬前日まで秋と考えるのは陰暦にならったもので気象学上は陽歴の九、十、十一月を秋とかんがえているのが一般。<この秋は何で年よる雲に鳥  芭蕉>

長い雨止んだと思えばもう秋だ  ゆんた
秋風が垂れた稲穂を揺らす夕  蟻
秋の蚊の耳に当たって逃げにけり  雅柳
  ブンと鳴いて耳を蹴っていた蚊めが
秋雨にカゴに無意識モンブラン  灰虹
  カゴにはモンブランオブマロンが似あいます。
夕暮れのもの悲しさや秋の夜  拶木
秋手入れ浮ぶ年輪雨の影  耕泉
焼肉の匂いにゆれて犬子草  穭
  犬子草は狗の尾草、エノコログサ (いぬっころぐさ が えのころぐさ)、いちめい 猫じゃらし。花穂を猫にさし出すと猫がじゃれてくる。焼肉との取り合わせが面白い。
思い草芒にひそと隠れをり  三郎
  思い草→南蛮煙管。可憐な紅の花。芒の根茎に寄生しているのでいつも芒にかくれている。
白鳥居静かに立てり秋の海  文福
  福岡県糸島の景。玄海に面する糸島に夫婦岩あり「朝日の伊勢二見ヶ浦」に対し「夕日の二見ヶ浦」と呼ばれる。夫婦岩の白い〆縄に向かって、白く神々しい鳥居がそそり立っている。

秀句三選

入選七句

第25回  第26回  第27回  第28回  第29回  第30回  第31回  第32回
第33回  第34回  第35回  第36回  第37回  第38回  第39回  第40回
第41回  第42回  第43回  第44回  第45回  第46回  第47回  第48回
第49回  第50回  第51回  第52回  第53回  第54回  第55回  第56回
第57回  第58回  第59回  第60回  第61回  第62回  第63回  第64回
第65回  第66回  第67回  第68回  第69回  第70回  第71回  第72回