第42回 2012年3月

句評     村野 太虚
 春という言葉には、もののときめく明るい響きがあるが暦法のうえでは立春(2月4日ごろ)から立夏(5月6日ごろ)の」前日までを指す。
雨粒のはじけて春をうながせり  文福
 やわらかい雨粒がパラパラはじけて花の蕾にぶっつけた。春をうながしているのである。
春の雨粒が意思をもつもののようなはじける躍動感
春9句
  • 立春を迎えてなほも雪積もる  大豆
  • 白木蓮蕾が今かと春を待つ  雅
  • 雪解けや春の訪れすぐそこに  肴
  • 公園で汗ばむ我が子春近し  長崎の牛飼
  • 春暁や鉄橋の音鳴り響く  雅柳
     <春暁>でわすれられないのが <春暁や桶にあふるる命綱 鶏二>
  • 下ろしたて背広にふわり春の雪  風水
  • 仲春や銀の玉でる籤車  五郎
     籤車を廻すやコロコロと出る銀の玉。白の玉の人にはテッシュ。銀の玉には越の酒小瓶7本。立山、銀番、おわら娘、成政、などなど。仲春に催された越の国の物産展。天井にながれるおわら節。関東一円からあつまる越中人くさいにおい。
  • 見上げれば小粒のつばめ春を待つ  如楽女
  • ランチメニューピンクメニューの春づくし  如楽女

おもしろや今年の春も旅の空  芭蕉

秀句三選

入選七句

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