第27回 2010年12月

総評
 おもわず「ころ」と呼びたくなるような愛くるしいグランプリ受賞者の愛犬「こころちゃん」も週刊エクステリアに登場。愛犬の名を俳号にとられた「こころさん」はじめ、今回受賞者の写真とそれぞれの方の<こころ>がそれぞれ新聞2ページぶち抜きで述べられた。画期的なことだ。春風吹きわたる思い。
 特に利涼さんにおかれては社員教育にも俳句を採用される予定であると・・・。 応募者がエクステリア業界限定というところからゆくと、また、過去100人ほどの方から受けた投稿からみてさらに今後を考えると、<エクステリアの俳壇>が定着したともいえる。誠に御同慶にたえない。それに応募の内容がどんどん深くなってきた。
オリオン座
 どの道も人の道かな時雨をり  露徒
 目前に広がる道は一通りではありません。人生においてどの道に向かうかは自分の選択。そしてどのような道であろうと、それは、その人だけの道です。雨は降ったりやんだり、でも歩かなければなりません。
 秋空を汲みだしてをり観覧車  文福
 雲一つない真っ青な秋空。その大空の中で観覧車はあたかも水車のように、さわやかな空気を汲み出している。音もなくゆっくりと。「空を汲みだす」という発想が新鮮。
 冬花火女五人の秩父酒  五郎
 たまたま五人につきあった作者は秩父酒を振舞ったのであろう。
提案座
 <寒雲や寝たきり坫華石地蔵>
 なにかで吹きたおされたかで横になったきりの石地蔵。それでも釈迦の坫華微笑を絶やさないでいる。意味はわかるが寒雲に必然性がない。石地蔵をうたいたければ「冬夕焼首の失せたる石仏」では感じがでませんか。
 <水鳥の戯れ眺め陽が落ちて>
 ものごとできごとを段階的に説明するだけでは俳句といえません。

*坫華微笑(ねんげみしょう):釈尊が黙って華を拈(ひね)ったところ、大衆はその意味を理解することができなかったが、迦葉尊者だけがその意味を理解して破顔微笑したため、迦葉に禅の法門を伝えたという伝説。ここでは石仏の微笑。

秀句三選

入選七句

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