第100回

句評     村野 太虚
春一番濁世の塵土払いをり  露徒
  <いかなる仏の濁世塵土に示現して・・・・ 奥の細道>

春一番
  春になって最初に吹く強い南よりの風。気象台が作った言葉でなく漁師たちがむかしから使っていた言葉を採用したものだから生活用語としての自然さがある。健吉

春一番新横綱ののぼり幡  三虚
  全勝かちっぱなしの新横綱 萩原実君 日馬富士に負けて大けが。でも痛みをこらえて涙の優勝!日本中がわきました。のぼり幡も泣いている。
ゆきすかし春一番を口ずさみ  秋水
  北陸では雪がつもっていても春一番が吹く。雪掻きの作業も春一番が吹けば口笛もでようというもの。
耐えしもの解き放たれし春一番  文福
  もう長靴も雪合羽もいらないんだ。春よこい♪ 里にこい♪
春一番綱ののびきる舫船(もやいぶね)  雅柳
  付け句「波のうねりに和布よりそう 露徒」 流されないで、離れないで。篭池も慎太郎も喜朗も、春一番よ吹きとばしてくれ!
アラザンを二月の男選びをり  特許
  銀色のあのつぶつぶ。飾り付けのウマイあのやさしいチョコ男。
玄関に豆一粒や冬終る  露徒
  豆撒き行事も終って家の中はひっそり。玄関に豆ひと粒が残っている。ああ、長い冬も終ったのだ。
魚河岸の魚の泪や涅槃西風
  墨田の魚も豊洲へいけばいいのか築地へゆけばいいのか迷っている。魚河岸に生臭い涅槃の風がふいている。泪、泪
ほのかさを拾い集めて寒桜  文福
  花は小輪。ほのかな淡紅色。拾い集めてが優雅。ほのかさがやさしい。 

秀句三選

入選七句

第25回  第26回  第27回  第28回  第29回  第30回  第31回  第32回
第33回  第34回  第35回  第36回  第37回  第38回  第39回  第40回
第41回  第42回  第43回  第44回  第45回  第46回  第47回  第48回
第49回  第50回  第51回  第52回  第53回  第54回  第55回  第56回
第57回  第58回  第59回  第60回  第61回  第62回  第63回  第64回
第65回  第66回  第67回  第68回  第69回  第70回  第71回  第72回
第73回  第74回  第75回  第76回  第77回  第78回  第79回  第80回
第81回  第82回  第83回  第84回  第85回  第86回  第87回  第88回
第89回  第90回  第91回  第92回  第93回  第94回  第95回  第96回
第97回  第98回  第99回